haskell-jp / math #11 at 2022-12-16 23:05:53 +0900

随伴行列の定義がとても随伴関手っぽいのですが、これを実際に随伴関手となるようにする圏はどういうものになるでしょうか?
(x, y)を複素ベクトルx, yの内積とすると行列Aの随伴行列をBとして(x, Ay) = (Bx, y)となる関係になるので、圏の対象が複素ベクトル、射が内積ができることとなるかと考えてみたのですが、この場合射の合成が定義できなさそうかと考えています。。
お手数をおかけしますが、ご教授いただけますと幸いです。
hom-setを自然に実数と思う方法がないので、多分不可能だと思います。歴史的に言うと、随伴行列/随伴作用素が満たす内積の式
<A^*x,y> = <x,Ay>
と随伴関手のhom-同型が形的には非常によく似ていたので随伴関手と呼び始めた、という話ですね。その形が似た2つの式が同一の数学的内容か、あるいは一方が他方の一般化か、というと違うと思います。より大きい枠組みで統一できるかどうかまで行くとやっぱりよくわかりません。

歴史はよくわかんないので完全にWikipedia準拠です:
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Adjoint_functors
Adjoint Functors
Terminology and notation

なお、なんか、「この類似性は厳密化できる」とかWikipediaが言っており、随伴行列の圏バージョンを考えているみたいな話がある論文を参考文献に上げています。しかし、この「圏バージョン」は線型空間と随伴行列の一般化というわけではなく、線型空間と随伴行列の話の類似をより大規模にできる圏論的な枠組みを用意しよう、みたいな話ですね。線型空間と随伴行列はこの圏バージョンの一例にはなってないので、やっぱり線型空間と随伴行列を直接圏と随伴関手だと思うのは難しそうです………
(なお論文の中身はだいぶ不正確にしゃべりました)
ありがとうございます!調べてもちっとも出てこないので薄々思っていましたがやはりそうでしたか。。もし本当にそういう圏があったなら「随伴関手は随伴行列の一般化で〜」みたいな論調で紹介されそうな気がしますし
ともあれありがとうございました!スッキリしました。