Haskell-jpのコンテンツの一つとしてHaskell AntennaというWebページの開発・運用をしております。
2019年の今頃、これを自動毎時更新しようと Drone Cloudによる毎時更新を設定しました。
しかし。。。なんと去年の3月ぐらいからこれが止まっています(どうやら、Drone Cloudのこの機能を利用してマイニングをした人がいたらしく止めてしまったようです)。 現在は僕がだいたい毎朝1回、手動でCIを回しています。。。
ずっとなんとかしなきゃなぁと思い続けてはや9ヶ月。 やっと重い腰をあげてなんとかしました! というよりは、なんとかする方法を思い付いたので実装してみました。
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hereどうするか?
GCPにはalways freeプランというのがあり、GCEインスタンスの場合はf1-microであれば一台だけ無料です(2020/1現在)。 これに、毎時実行して更新をプッシュするantennaプログラムを仕込んでおけば良いではないかということに気づきました。
Haskell Antenna自体はGitHub Pagesであり、HTMLなどはhaskell-jp/antennaという Haskell製CLIアプリケーションで生成しています。 これをcronか何かで毎時実行すればいいんですけど
- cronとDockerの組み合わせが割とめんどくさい(antennaはDocker Imageとして提供している)
- cronにした場合更新をGitHubにどうやってプッシュしようかなどを考えるのがめんどくさい
という問題があります。
そこで、(2) のプッシュの部分も含めて毎時実行の処理をantennaアプリケーションに閉じ込めてしまえば、docker run
しておくだけで良いのではないか?というのを思い付きました!
ということで、そういう風にantennaを改良します。
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here実装する
antennaプログラムに「gitコマンドを使ってGitHubリポジトリに更新をプッシュする機能」と「全てを毎時実行する機能」の2つを組み込む必要があります。 ここで後方互換性を維持するために、これらはオプションでオンする機能にしましょう。 なのでまずは、antenna CLIアプリケーションのオプションを整理するところから始めます。
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hereオプションの整理
改修前のantennaはオプションを持っていません。
getArgs
で引数(設定ファイルのパス)を受け取るだけです
import System.Environment (getArgs)
-- generate 関数が設定から HTML ファイル群を生成する IO アクション
main :: IO ()
= (listToMaybe <$> getArgs) >>= \case
main Nothing -> error "please input config file path."
Just path -> generate path =<< readConfig path
これを extensible の GetOpt
を使ってオプションを貰えるように拡張します
-- withGetOpt' は usage を独自で扱えるように拡張した Data.Extensible.withGetOpt です
main :: IO ()
= withGetOpt' "[options] [input-file]" opts $ \r args usage ->
main if | r ^. #help -> hPutBuilder stdout (fromString usage)
| r ^. #version -> hPutBuilder stdout (Version.build version)
| otherwise -> runCmd r $ listToMaybe args
where
= #help @= helpOpt
opts <: #version @= versionOpt
<: #verbose @= verboseOpt
<: nil
type Options = Record
"help" >: Bool
'[ "version" >: Bool
, "verbose" >: Bool
,
]
helpOpt :: OptDescr' Bool
= optFlag ['h'] ["help"] "Show this help text"
helpOpt
versionOpt :: OptDescr' Bool
= optFlag [] ["version"] "Show version"
versionOpt
verboseOpt :: OptDescr' Bool
= optFlag ['v'] ["verbose"] "Enable verbose mode: verbosity level \"debug\"" verboseOpt
差分全体はこのPRで確認することができます。
興味のある人はみてみてください。
generate
関数は以下の runCmd
関数から呼ばれています
import Mix
import Mix.Plugin.Logger as MixLogger
runCmd :: Options -> Maybe FilePath -> IO ()
Nothing = error "please input config file path."
runCmd _ Just path) = do
runCmd opts (<- readConfig path
config let plugin = hsequence
$ #logger <@=> MixLogger.buildPlugin logOpts
<: #config <@=> pure config
<: nil
$ generate path
Mix.run plugin where
= #handle @= stdout
logOpts <: #verbose @= (opts ^. #verbose)
<: nil
runCmd
関数はmix.hsを使って RIO env ()
のボイラーテンプレートを減らしています。
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heregit コマンドを呼ぶ
Haskellアプリケーションからgitコマンドを実行するにはShellyを使うことにします。 Shellyはmix.hsのshellプラグインを使うことで簡単に使用することができます。 まずはコミットを作る部分を実装しましょう
import qualified Git -- 自作Shelly製gitコマンド関数群
import qualified Mix.Plugin.Shell as MixShell
runCmd :: Options -> Maybe FilePath -> IO ()
Just path) = do
runCmd opts (<- readConfig path
config let plugin = hsequence
$ #logger <@=> MixLogger.buildPlugin logOpts
<: #config <@=> pure config
<: #work <@=> pure "."
<: nil
$ do
Mix.run plugin ^. #withCommit) $ MixShell.exec (Git.pull [])
when (opts
generate path^. #withCommit) $ commitGeneratedFiles
when (opts where
= ...
logOpts
commitGeneratedFiles :: RIO Env ()
= do
commitGeneratedFiles <- view #files <$> asks (gitConfig . view #config)
files $ do
MixShell.exec
Git.add files<- Git.diffFileNames ["--staged"]
changes not $ null changes) $ Git.commit ["-m", message]
when (where
= ... message
全ての差分はこのPRから確認できます。
runCmd
関数に追記したのは when (opts ^. #withCommit)
から始まる2行です(Options
に #withCommit
を追加しています)。
mix.hsのshellプラグインを使うことでShellyのログをだいたいそれっぽくrioのロガーに流してくれます。
次に、git push
も実装します
runCmd :: Options -> Maybe FilePath -> IO ()
Just path) = do
runCmd opts (...
$ do
Mix.run plugin ^. #withCommit) $ MixShell.exec (Git.pull [])
when (opts
generate path^. #withCommit) $ commitGeneratedFiles
when (opts ^. #withPush) $ pushCommit
when (opts
pushCommit :: RIO Env ()
= do
pushCommit <- view #branch <$> asks (gitConfig . view #config)
branch "origin", branch]) MixShell.exec (Git.push [
前から使っている gitConfig
は設定ファイルからgitコマンドに関する設定を取ってきています(例えば、どのファイルをコミットするかやどのブランチにプッシュするかなど)。
これで、差分があった場合はgit commit
を実行し、最後にgit push
するようなオプション、--with-commit
と--with-push
を実装できました(他にも実装していますが割愛)。
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here毎時実行
メインディッシュである毎時実行です。 Haskell-jp Slackで、スケジューリング実行をHaskellアプリケーション内で行うのにちょうど良いパッケージはありますか?と尋ねたところcronというパッケージを紹介してもらいました(名前がややこしい笑)。 調べてみたところ、ちょうど良さそうなのでこれを使うことにします
import System.Cron (addJob, execSchedule)
main :: IO ()
= withGetOpt' "[options] [input-file]" opts $ \r args usage ->
main if | r ^. #help -> hPutBuilder stdout (fromString usage)
| r ^. #version -> hPutBuilder stdout (Version.build version)
| r ^. #hourly -> runCmd r (listToMaybe args) `withCron` "0 * * * *"
| otherwise -> runCmd r (listToMaybe args)
where
= ...
opts
withCron :: IO () -> Text -> IO ()
= do
withCron act t <- execSchedule $ addJob act t
_ $ threadDelay maxBound -- 無限ループ forever
全ての差分はこのPRから確認できます。 すっごい簡単ですね。 ついでに、毎日実行と毎分実行するオプションも追加しています。
これでアプリケーションの方は出来上がったので、こいつをGCEインスタンスで動作させてみましょう。
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hereインスタンスで起動する
まずはGCP Consoleからインスタンス作成します。 構成は次の通りです
- f1-micro
- オレゴンリージョン
- 30GBの標準ストレージ
- OSはUbuntu 18.04
GCP ConsoleからSSHして、docker コマンドをインストールします(やり方は公式サイトのをそのまま)。
ここまでできたら試しに sudo docker pull haskelljp/antenna
して最新のイメージを取得してみましょう。
次に、GitHubにプッシュするためにSSH Keyを生成してデプロイキーを haskell-jp/antenna リポジトリに設定します。
できたら適当に git clone [email protected]:haskell-jp/antenna.git
してブランチを gh-pages
に切り替えます。
あとは次のコマンドでantennaプログラムを実行するだけです
$ sudo docker run -d \
-v `pwd`:/work
-v `echo $HOME`/.ssh:/root/.ssh \
haskelljp/antenna antenna --verbose --with-commit --with-push --with-copy --hourly sites.yaml
docker logs
を使って様子をみてましたが、うまくいってるようです!
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here今後やりたいこと
igrep氏がIssueにしてくれてるように、Haskell Antennaの正しい差分をHaskell-jp Slackに通知する仕組みを整備しようと考えてます。
実はコミットをHaskellアプリケーション内で組み立てるようになった結果、Haskellアプリケーション側でいい感じに差分を調べ上げ、その結果をコミットメッセージに組み込むことができるようになりました。
さすがにHTMLやフィードの git diff
を解析するのは大変なので、いい感じに各サイトの最終更新ログを残すようにしてみようかなって考えてます。